困っている人は見捨てられない。誰かの助けになりたい。
困っている人を見ると放っておけない。誰かの役に立ちたい。
漫画やドラマに出てくるヒーローのようで、とても立派な言葉に聞こえます。
しかし世の中には、人助けをしているはずなのに周囲を疲れさせてしまう人がいます。
頼んでもいないのに手を出してくる、断ると怒る、感謝しないと不機嫌になる。
このような行動の背景にある心理として知られているのが
メサイアコンプレックス(救世主願望)です。
メサイアは「メシア(救世主)」のことで、自分が救世主となり他人から認められたいと強く思う心理を指します。
人に親切なのは良いことですが、行き過ぎてしまうと自分自身が苦しんだり、親切の押し売りによって周りを苦しめてしまうことがあります。
メサイアコンプレックスとは何か
自分の価値を証明するための人助け
メサイアコンプレックスの人は、純粋な善意だけで行動しているとは限りません。
「自分が価値のある存在だと認められたい」「誰かより優位に立ちたい」という気持ちが動機になっていることがあります。
そのため、親切をしたあとに感謝を求めたり、期待した反応が返ってこないと強い不満を感じることがあります。
助けることで安心しようとする心理
人助けをすることで、自分の存在価値を感じたり、不安を埋めようとする場合もあります。
誰かに必要とされている状態でないと落ち着かないため、無意識に「助ける場面」を探してしまうのです。
メサイアコンプレックスの具体例
例① 自分を犠牲にしすぎてしまう
大震災が起きたとき、自分の定職をやめてまでボランティアに尽くすものの、貯金が底をつき生活が立ちゆかなくなる。
自分を犠牲にしすぎた結果、自分も苦しくなってしまいます。
また、助けられている側からしても、自己犠牲をしてまで尽くしてくれることへの嬉しさと同時に、
「自分のせいでこの人を苦しめている」という罪悪感を抱いてしまうことがあります。
例② 助けるために相手を弱いままにしてしまう
目の前で病気で苦しんでいる人に対して、本当に効果があるか疑わしい民間療法を勧める。
病院へ行き正しい治療を受けてしまうと、困っている人がいなくなってしまうため、根本的な解決を避けてしまうことがあります。
親切をするために、無意識のうちに相手を弱い状態のままにしてしまうこともあります。
この行動は
代理ミュンヒハウゼン症候群
に近い部分があります。
代理ミュンヒハウゼン症候群は、介護している自分に注目を集めるために、弱い立場の人を傷つけてしまう心理です。
感謝されることが目的の場合はメサイアコンプレックス、周囲からの注目を集めることが目的の場合は代理ミュンヒハウゼン症候群と考えられます。
なぜメサイアコンプレックスになるのか
自己肯定感の低さ
自分に自信が持てない人ほど、「誰かの役に立つことで価値を証明しよう」とすることがあります。
助けている間だけは、自分が必要とされていると感じられるためです。
承認欲求が強い
感謝されたり頼られたりすることで満たされるタイプの人は、無意識に人助けを求める傾向があります。
そのため、頼まれていないのに手を出したり、過剰に関わろうとすることがあります。
支配欲や優位に立ちたい気持ち
助ける側と助けられる側には、どうしても上下関係が生まれます。
その関係に安心感を覚え、無意識に相手をコントロールしようとしてしまう場合もあります。
自分自身がメサイアコンプレックスだったときの対処
自分がメサイアコンプレックスだと気付いた場合には、親切の押し売りになっていないかをよく考えることが大切です。
あなたが良かれと思ってしたことも、相手にとっては迷惑かもしれません。
感謝されるために行動していないか、見返りを求めていないかを意識してみましょう。
本当に相手のためになる行動とは、相手の意思を尊重することでもあります。
相手がメサイアコンプレックスだったときの対処
相手がメサイアコンプレックスだった場合、拒否するのは簡単ではありません。
本人は善い行いをしていると信じているため、断ると冷たい人だと思われることもあります。
しかし彼らは、困っている人を助けるためではなく、感謝されるために人助けをしていることがあります。
相手を支配しようとする傾向があるため、自立している人には近づかないことも多いです。
巻き込まれないためには、自分の意思をはっきり持ち、必要以上に頼らないことが大切です。