見栄を張る人の心理
世の中には、見栄を張る人がいます。
自分を実際以上に大きく見せようとする人。
高価な物を持っていることを強調したり、実力以上の成果を語ったりする人です。
このタイプの心理は比較的わかりやすいものです。
周囲から「すごい」と思われたい。
自分を優れている人間だと認めてほしい。
つまり、他人からの評価によって自分の価値を高めたいという欲求が、見栄という形で表れているのです。
逆見栄とは?自分を小さく見せる人
しかし、世の中には逆の見栄を張る人もいます。
それが「逆見栄」と呼ばれるタイプです。
逆見栄とは、自分を実際よりも低く見せようとする行動のことです。
例えば次のような発言です。
- 「全然勉強してないよ」
- 「昨日あまり眠れなくて」
- 「私なんて全然すごくないよ」
褒められても強く否定したり、聞かれてもいないのに自分の欠点を話したりする人もいます。
一見すると謙虚に見えますが、その心理は意外と複雑です。
逆見栄を張る人の心理
日本では謙遜が美徳とされる
日本では昔から謙遜が美徳とされてきました。
誰かに「あなたはすごいですね」と褒められたとき、日本人の多くは次のように答えます。
「いえいえ、そんなことありません」
しかし海外では違います。
アメリカなどでは「ありがとう」と答えるのが一般的です。
日本では素直に受け取ると「自慢している」と思われてしまうこともあり、謙遜することが社会的なマナーになっている面があります。
その文化の影響で、必要以上に自分を低く見せる人も少なくありません。
能ある鷹は爪を隠す
本当は実力があるのに、それをあえて隠す人もいます。
理由はさまざまです。
- 嫉妬されるのを避けたい
- 相手に嫌な思いをさせたくない
- 油断させたい
- 目立ちたくない
また、実力のある人ほど、自分より優れた人が世の中にたくさんいることを知っています。
そのため本心から「自分なんてまだまだだ」と思っている場合もあります。
失敗に備える保険
逆見栄の代表的な心理の一つが、失敗への保険です。
心理学ではこれを「セルフハンディーキャッピング」と呼びます。
あらかじめ不利な条件を口にしておくことで、結果が悪かったときの言い訳を用意しておく行動です。
例えば次のようなものです。
- 「全然勉強してない」
- 「体調が悪い」
- 「準備不足だった」
こう言っておけば、失敗しても「実力ではない」と説明できます。
逆に成功した場合は「そんな状況でも成功した」と評価が高くなります。
期待値を上げたくない
人は、周囲の期待が高くなるほどプレッシャーを感じます。
例えば「料理が得意」と言ってしまうと、次のように思われるかもしれません。
「それならすごい料理が出てくるはず」
しかし実際に出てきた料理が普通だった場合、評価は下がってしまいます。
そのため、あらかじめ自分の能力を低く伝えておくことで、周囲の期待をコントロールしているのです。
余計な仕事を避けたい
できると言ってしまうと、頼み事が増えることがあります。
- パソコンが得意なら修理を頼まれる
- 車の運転が得意なら送迎を頼まれる
- スポーツが得意なら指導を頼まれる
こうした面倒な役割を避けるため、あえて「できない」と言っておく人もいます。
逆見栄は、自分の負担を減らすための防衛策でもあるのです。
見栄と逆見栄、どちらも自己防衛
テレビ番組では、見栄を張る人の特集がよく組まれます。
ブランド品を買いすぎて生活が苦しくなる人など、派手な見栄が取り上げられることが多いです。
しかし実際の社会では、逆見栄のほうが身近な存在かもしれません。
インターネットでは匿名性が高いため、実際以上に自分を大きく見せる人も多く見られます。
一方、現実社会では人間関係が続くため、むしろ自分を小さく見せる人のほうが多いとも言われています。
特に共感を重視する人間関係では、自分を下げて相手を持ち上げる行動も珍しくありません。
逆見栄は小さな自己防衛
見栄を張る人は、自分を良く見せようとします。
逆見栄を張る人は、自分を悪く見せようとします。
一見すると正反対の行動ですが、どちらも共通点があります。
それは、自分を守るための行動であるということです。
人は誰でも、評価されることや失敗することを怖いと感じます。
見栄も逆見栄も、そうした不安から生まれる小さな防衛反応なのかもしれません。