選挙ポスターは申請が通れば戸籍簿の名前でなくても良い
この時期は特によく目にする選挙ポスター。
見ると、苗字か名前のどちらががひらがなになっていることはありませんか?
本名が「田中実」なのに「田中みのる」とひらがなで書いてあったりします。
どうしてなのでしょうか。
話は逸れますが、この田中実という仮名は、日本で一番多いフルネームらしいですよ。
話を戻して、候補者が立候補の届出をするときには、戸籍簿に記載された氏名でなければならないと決められています。
しかし、芸能人の芸名のように本名以外の名前が広く知れ渡っている場合には、本名以外の「通称」を登録することができます。
芸名のように、本名とは違う名前を通称として使用したい場合は、通称認定申請書を提出しなければならず、さらにその名前が広く通用していることを示す資料が必要になります。
例えば、そのまんま東さんやアントニオ猪木さんなどは通称で選挙に出ていました。
しかし、本名をひらがなにするだけなら、広く通用しているという資料は必要なく、通称認定申請書を提出するだけで、通称として認めてもらうことができます。
本名をひらがなにするぐらいならだれでも簡単にできるので、ひらがなポスターが多くなるのです。
ひらがな名の選挙ポスターの不思議
では何故わざわざひらがなにするのでしょうか。一つは覚えやすくするため。
田中のような簡単な名前なら漢字でもいいかもしれませんが、読みにくい苗字だと覚えにくいです。
もう一つはやわらかい印象に見せるため。
ひらがなは漢字よりもやわらかい印象で、フレンドリーな雰囲気を与えます。
そしてもう一つは投票時の誤記を減らすためです。
漢字が分からなくて苗字しか書けなかった、間違えて別の人に票を入れてしまうなどの間違いを少しでも減らし、一票でも多く投票してほしいと考えるからです。
カタカナも可能
ちなみに名前をひらがなで書く文化には、実は地域差があります。沖縄県では、ひらがなよりもカタカナの方がよく使われます。
沖縄県民にとっては、やわらかく見えるひらがなよりも、固く強く見えるカタカナの方が有利なようです。
今回調査をしてみて、ひらがなの選挙ポスターを見て「簡単な漢字を読めないと国民を舐めている」と感じる人も少なくないようです。
しかし、ひらがなにするのは舐めているわけでもなんでもなく、間違いを減らしたい、名前を憶えてほしいという思いがあるからなのです。