「嘘つけ」って不思議な言葉
「嘘つけ」って、面白い言葉ですよね。
嘘をついてほしくないのに「嘘つけ」と、なぜ命令形なのでしょうか。
普通に考えると、
- 嘘をつけ → 嘘をつきなさい
という意味になりそうです。
しかし実際には、
「嘘を言うな」
「そんなの嘘だろ」
という意味で使われています。
日本語の中でも、なかなか不思議な言い回しです。
「嘘つけ」は「嘘をつくな」という意味
「嘘つけ」という言葉には、相手への非難が隠されています。
ニュアンスとしては、
嘘だとわかっているんだぞ。
それでも嘘を言うなら勝手にしろ。
というような、強い反発の意味が込められています。
つまり本当に命令しているわけではなく、相手の発言を否定する言葉なのです。
「嘘をつけるものならついてみろ」が省略された説
この表現の由来としてよく言われているのが、次のような説です。
もともとは
「嘘をつけるものならついてみろ」
という挑発的な言い方だったのではないか、というものです。
意味としては、
- 嘘なんてつけるわけがないだろ
- そんなことはあり得ない
というニュアンスになります。
そしてこの長い言葉が省略されて、
「嘘つけ」
という短い言葉になったと考えられています。
「馬鹿言え」も同じ構造
このような言い方は「嘘つけ」だけではありません。
例えば、
- 馬鹿言え
という言葉もあります。
これも、
- 馬鹿を言いなさい
という意味ではありません。
本来のニュアンスは、
そんなことが言えるものなら言ってみろ
という挑発や反論です。
日本語ではこのように、命令形なのに否定の意味になる表現が存在します。
最近「嘘つけ」をあまり聞かなくなった?
ところで、「嘘つけ」という言葉は、最近あまり聞かなくなった気がしませんか。
代わりに
- 「嘘だろ」
- 「嘘だ」
と言う人が増えているように感じます。
もしかすると、若い世代には「嘘つけ」という言葉が少し白々しく感じられるのかもしれません。
さらに、現代人は省略語が好きです。
もともと
「嘘をつけるものならついてみろ」
という長い言葉が省略されて「嘘つけ」になったと考えられています。
それがさらに省略されて、
「嘘だ」
という、よりシンプルな表現へ変わっていった可能性もあります。
結果的に、少し分かりにくかった「嘘つけ」が、より分かりやすい言葉へと変化しているのかもしれません。
日本語は時代とともに変わっていく
このように、日本語の言い回しは時代とともに変化していきます。
難しい表現や分かりにくい言い回しは、少しずつ使われなくなり、より分かりやすい言葉へと変わっていくことがあります。
それを寂しいと感じる人もいますが、言葉というものは本来、時代に合わせて変わるものです。
ある意味では、とても自然なことなのかもしれません。
今は「変な日本語」でも、将来は普通になるかもしれない
間違っている日本語として、よく例に出される言葉があります。
例えばファミレスなどで聞く、
- 「ハンバーグでよろしかったでしょうか?」
- 「こちらハンバーグになります」
といった表現です。
違和感を覚える人も多いですが、もし多くの人が使うようになれば、将来的には辞書に載る可能性もあります。
言葉というのは、
多くの人が使うようになれば、それが正しい日本語になる
という性質を持っているからです。
日本語は「変だ」と言う人がいるから面白い
変な日本語に対して、
「これは変だ」
と言い続ける人がいなければ、「変」という感覚そのものが薄れてしまうかもしれません。
SNSなどで「この日本語は変だ」と主張している人たちは、もしかすると
未来の日本語を守ろうとしている
のかもしれません。
言葉は変わり続けるものですが、その変化を考え続けることも、日本語の面白さの一つなのです。